【けど奴はまだ完全に封印を解いてねエ、今は――】

ググゥゥゥゥ・・とエミのお腹が鳴き、ハムスターは諦めた。

照れ笑いをしながら頬を掻き一同に昼食を勧めると、皆あまりの目まぐるしさに忘れていた食欲が急に湧き出した様でひとまず腹拵えをする事にした。



ユウリが唐揚げを頬張りながらミチルに顔を向ける。

「そーいえば何か情報掴んだのか?」

「あ、そうそう。あたし達の夢見たって人がいて・・腕刺さってる」


そこでブハァッ!とユウリは唐揚げを吹き出すと、隣に座っていたユキノが思いっ切り迷惑そうに弁当をずらした。しかし気にも留めず続ける。

「何なんだ?そいつ・・・おいハムスター、どういう事だ??」

【分かんねぇヨ、オレ様は十神を導く以外何も知らないからナ】

「っか〜・・使えねーなお前」

とユウリが額に手をあて吐き捨てると、ハムスターは怒り心頭の様子で一目散に駆けてきて弁当の煮豆を一粒奪って逃げた。ユウリは悔しそうに睨む。

まぁまぁ、とユキノは宥めながら再びミチルに聞いた。

「それ〜で〜その〜人は〜どう〜した〜の〜??」

「もっちろん携番ゲットしてあるよ!何だったら呼び出すし?」


ミチルは派手にデコレーションされた携帯を振ってみせた。