蝉時雨は煩わしく辺りを震わす。少し古ぼけた校舎に反響してさらに嬉々として。


いつもは溢れかえる生徒達はそこにはいない。

いや、まったくの無人ではない。

三階建ての建物の、おそらく最も日当りが良いであろう三階端の教室に彼女達はいた。



「ありえない」

「暑くて〜死〜に〜そう〜・・・」

「アイス食べたいよおぉぉ!」

「冗談じゃねーぜ、ったく」

「ついてないですわね・・」

「あたしゃ暑さに弱いんだよ」

「よーっし!負けないもん!!」



うだる暑さの室内で少女達は空いてる席に着き、文句をはきつつなにやら白紙と格闘しているようだ。

と、教卓前に鎮座していた一人の女生徒が拳を机にたたきつけた。


こめかみに筋を立て、奥歯をギリギリと噛み締めその生徒は握った拳を解き文句を言う生徒達に人差し指を突きつけた。 


「・・・誰のせいかしら??」


「ご、ゴメンって・・・委員長・・・」


委員長と呼ばれた生徒は怒りが治まらないのか更に続ける。