犬神さまのお嫁さま

 尚も私を抱き寄せようとする希彦の言葉を遮るとと私は力いっぱい希彦をぶん殴り慌てて教室を飛び出した。

 殴った時に骨が振動させるような「ゴッ!」って感じの鈍い衝撃音がしたけど聞かなかった事にする。

 …色んな意味で後ろは振り向かない。
 ていうか振り返りたくない。



 「…か、かえで…置いていく…な…」



 遠巻きに聞こえる明らかに無事ではなさげな希彦の声が聞こえる。

 心配じゃない訳でもないけど今までの事を鑑みたら助ける気は起きなかった。

 なので希彦の呻き声を背中で聞きながら私は一気に階段を駆け降りる。