犬神さまのお嫁さま

 ああ、視線が痛い。

 私は希彦の肩にぶら下がったまま小声で高いところからすみませんと謝っておいた。


 ただでさえ3年生の教室で、しかもホームルーム中の乱入で居心地が悪いというのに希彦はそれを気にする事なくドスドスと大股で歩く。

 その歩みは教室の中央辺りで止まった。

 その後、希彦は膝を折り、肩に担いだままの私をゆっくりと下ろす。


 今までの勢いを考えたら放り下ろされるかと思っていたけど案外優しいじゃん、なんて思ったのも束の間。


 隣に下ろしてくれた希彦を見上げるととんでもなく怒り顔だった。

 怒り顔っていうか『怒髪天を衝く』ってやつ。

 綺麗な顔立ちな分、眉を吊り上げ睨む姿は凄く怖く感じる。