犬神さまのお嫁さま

 「なんかもーご都合主義の神様が仕向けてるとしか思えない」

 「まぁ確かに神懸かり的ではあるけど」


 伏せたまま唇を尖らせてごちる私には菜穂は手放しではないにしろ賛同してくれた。

 八百万(やおよろず)の神様がいると言われている日本といえど『ご都合主義の神様』が実在するとは流石に思っていない。

 ていうか熱心な仏教徒でもキリスト教徒でもないし。

 基本的に『困った時の神頼み』レベルでしか神様ってものを私は信じてない。


 そんな無神論者の私でも菜穂が言う『神懸かり的』という単語は納得がいった。

 …いや、その単語に納得がいっても現状を受け入れる気はないんだけど。


 「あーもう!どうせなら恋愛の神様に見染められたかったー!」


 机の上にべったり張り付いててもしょうがない。
 私はヤケクソ気味にそう叫びながら体を起こした。

 心の底からシャウトする私と向かい合わせに座っていた菜穂が迷惑そうな表情で迎える。