犬神さまのお嫁さま

 菜穂は『おっとり』という言葉でオブラートに包んだが表情をみれば一目瞭然で呆れが混じってる。

 実の母親の事だから抗議したい気持ちはてんこ盛りにあるけど話が進まなくなるので私は抗議の言葉を飲み込んで他の言葉に変えた。


 「ほんと気味が悪いぐらい2人とも機嫌良くって無問題でアイツ受け入れたんだよねー」

 「…そうなの?」

 「うん、パパは昇進でテンションMAXだし、ママも今朝方懸賞で応募してた淡水パールのネックレス当てちゃってるし」


 そう言って私はふはーっと大きく息を吐いて目の前の机の上に突っ伏した。

 溜め息を吐いてるけどこの2人の浮かれっぷりの恩恵を受けて出かけに臨時お小遣いで5000円貰ったんだけどね。

 そこは純粋に嬉しいんだけど。


 「良い事があれば浮かれて多少の事は目が瞑れるってのは分かるけどそういう次元の話じゃないでしょうに」


 菜穂のとても理にかなったツッコミ上から降ってくる。

 確かに菜穂の言う通り次元の違う話だ。

 働いた事のない私でも人っ子一人預かって扶養するって凄いことだと思うし。


 うちのパパとママの懐の深さを誇りに思う、って言葉で片付けれるレベルの事じゃない。