犬神さまのお嫁さま

 私が菜穂の折檻を予想していると目の前の女王様…じゃない菜穂はさっきと同じようにと溜め息を吐いた。


 「まぁ1億と2000万歩ほど譲ってしてないって事にして」

 「そこまで譲らなくてもしないから」

 「8000歩追加しようかと思ったのに」

 「『合体』と掛けなくていいから」


 ちょっとしたマニアックなネタを挟んで奈穂は一区切りつけるように一息吐いた。

 そして広げていた文化祭の総括ノートを閉じて脇に除けるとじっと私を見据える。

 切れ長の黒い瞳が私を捉えた。


 「それにしてもこうもすんなり楓のお父さんお母さんが受け入れるとはね」

 「そこなのよ。おかしくない?いくらなんでも」

 「まぁ楓のところのお母さんはおっとりしてるけど…流石にね」