犬神さまのお嫁さま

 これに関してはもう悲鳴というか断末魔というか…声は上げれなかったみたい。

 喉から音さえ出せずベッドの上で悶絶する希彦をかわしてベッドから抜け出ると着替えだけ持って部屋から飛び出した。


 寝起きとは思えないほどドクドクと脈打つ心臓を押えながら階段を駆け降りる。


 「昨日までただのクラスメイトだったのにいきなり同居人ってほんとご都合主義も甚だしいわ!」


 私は腹の中で沸き立つ怒りを我慢できずに言葉に変えて発散した。

 だけどもしこの言葉を美沙都と菜穂が聞いたら「『同居人』じゃなく『同棲相手』でしょ」とツッ込まれるじゃないだろうか?

 そう思うと怒りを通り越して脱力するしかなかった。


 「夏休みなんかもう終わっちゃえばいいのに…」


 夏休みの課題なんて1つも手についていないうちから私はそんな呪いの言葉を吐き出してママと朝食の待つキッチンへと向かった。