犬神さまのお嫁さま

 私の納得ぶりがミチルにも伝わったようで更に溜息を吐くと手に持ってた携帯電話をバッグに放り込んだ。

 そしてバタバタとトレイの上のエクレアとミルフィーユ食べて片付ける。



 「ごめんね楓!ちょっと行ってくる!」

 「ホント彼氏がドジっ子だと大変だねー」

 「彼氏じゃない!ただの幼馴染だから!!」



 慌しく席を立ちトレイを返しに走るミチルの背にそんな言葉をかけると速攻で否定された。

 …ていうか女友達とのスイーツタイム打ち切ってまで行くってのにカレカノじゃないって嘘じゃない?


 あんまり言い過ぎると後で本気でキレられるので私はそれ以上触れずにミチルを送り出した。

 一目散に駆けて行くミチルの横を思い出す。
 なんだか面倒くさいって顔してるくせにどこか嬉しそうな、そんな顔。怒っていてもどこと無く目が笑ってる。そんな感じだった。



 「あー恋してる女の子の顔だよなぁ」



 素直な感想が口を突いて出る。
 なんだかそんな顔が出来るミチルが羨ましく思えてちょっとだけ胸がチクっとした気がした。