苺の場合

▼噂①▼

某巨大掲示板や、大手SNSサイトでも少しだけ話題となったが、多くの人が日曜日は休みだから仕方がないにしても月曜日の丸１日もあれば、完全復旧するだろうと予想していた。

「ｱｲﾗﾝｿﾞ」は、昨日今日できたサイトではなく、ケータイでメール（iモード）ができるようになったころからある老舗の大手携帯電話サイトだったからだ。


【復旧が長くかかってしまった原因？】

４月の大規模なリストラ。

「ｱｲﾗﾝｿﾞ」サイドは立ち上げ時からいた優秀な技術者を全員解雇し、現在のシステムの運営を全てを「(株)ｽﾊﾟｰｸ」に外注することとなったらしい。

ランニングコスト削減のため決済システム以外のサーバーの維持管理業務を丸投げする方針へ変更。


「(株)ｽﾊﾟｰｸ」との契約内容は常識的な範囲であり、今回のような極めて悪質な攻撃者からの対応は含まれてはいなかった。

そのため、今回のﾒﾝﾃﾅﾝｽには新たに外部から優秀なSEを数人、破格の金額で臨時招集することで対応することとなった。

いくら優秀とはいえ、過去の技術を残しつつ、何人もの手により継ぎ足し継ぎ足しで組まれた複雑で、クセのある現在のシステムを把握するだけでも丸々3日もかかった。

そして、その状況を把握する前に【外部の人間にシステムのすべてを握られることにも問題がある】という壁にもぶち当たった。

「ｱｲﾗﾝｿﾞ」は急遽、弁護士と相談して契約書を作成。その細かな契約の問題をクリアするだけでも4日もかかった。

メンテナンスが遅れたのはこの契約作成時に時間がかかり揉めた為だという噂が有力。