「…待ちなさいよっ!」
気づいたら、私は笑い声のする方に走っていた。
透明のビニール傘がふたつ。
そのふたつの傘が、私の声で立ち止まり、ゆっくりとこっちを向いた。
茶髪に白メッシュのストレートロングと、
前髪の短い金髪ボブの二人組。
「…あ?何このコ…アケミの知り合い?」
「知らん」
怪訝な顔をする二人に、私は叫んだ。
「全くんの悪口言うな!全くんはそんなことしてない!!」
全くんは一生懸命バスケに打ち込んでて…
それから、夢中になって天体望遠鏡を覗いて、亡くなった人を星空の中から探そうとする…
そんな男の子だよ。
何も知らないくせに、酷いこと言うな!!
すると、金髪ボブが普通に聞いてくる。
「じゃあなんで全はエイズになったの?」

