でも、
決して100%不安がないわけじゃないんだよね?

それは、私の手に触れてきた彼の指先が物語っている。


「…ここに、ずっと居るよ」


私はベッドのそばにあった丸椅子を少し引き寄せ、
そこに腰掛け、両手で全くんの手を握りしめた。




“大丈夫、必ず死ぬ病気じゃないから”

“感染しながらも元気に生きてる人、たくさんいるから”


…そんな、ありきたりの安っぽい励ましはしなかった。

目の前の全くんが、落ち着いて事実を受け止めていたからだ。




全くんのために、私がしてあげられる事はなんだろう。


冷たく響く雨音の中、せめて全くんの静かな寝息を聞きたくて、
私は一晩中握りしめていた。


祈るように手を合わせて。


もしも

私が人間になれたように、奇跡が再び起こるなら…



ねぇ、神様

私の声は届いてますか…?