そんなことを考えながら、ぼーっと過ごしていたある日の夜だった。


ドドドドドド...

1台のバイクのエンジン音が、すぐ頭の上で止まった。


「ねえねえ、そんな所で何してんのー?」



階段の上の道路から、声を掛けられたらしい。

でも、気づかなかった。と言うか、私じゃない別の人を呼んでるのだと思っていた。



「薄着じゃーん、寒くないのー?白いワンピースのお姉さんだよー」




…私??
でも、私の知らない人だし…

反応に困って振り向かずにいると、突然後ろから腕を掴まれた。


「シカトしてんじゃねーよ姉ちゃん」


・・・・・・!?

怖くなり、逃げようにも腕が離れない。



力いっぱい腕を振り切り、走って逃げる。

男が上から声をかけてきたため、本能的に道路ではなく海岸側に走った。

しかし、歩き慣れない砂の上での全力疾走は無謀すぎた。