全くん、怒ったりしてないかな?
消えたかと思って心配してるかな?

そんな事を考えながら、誰も居ない中庭に寝転がり、空を仰ぐ。




――月はとっくに沈み、星達もまた、西の寝床へと帰ってゆく。


あ。
東の空が、ほんのり明るくなってきた。
綺麗なピンク色。

…その向こうに、透けるような白。
そして続く淡い空色の空。


その中で輝く眩しい金星。


かわいいピンク色の舞台で、一番大きく輝ける星。


でも、その輝きは、太陽由来のものだ。
そしてピンク色の空も。
淡い空色も。


…私だって、本当は太陽と変わらない星なのに。



膨張を続ける
赤黒い死の星の分身は、
光を浴びて消えていく。



夜しか彼を想う事が許されないなんて…


…それでもいい。

最初で最後の恋だから。


特別な恋だから。