オリジナル・レイズ


『特別支援学校って?』

「昔で言う養護学校だ。障害を持った人の為の」

『どうして行っちゃうんですかぁ~』



静かだった教室が、一気にざわつく。

行かないで、といった声がいくつも挙がった。

俺は本当に幸せな…

恵まれた教師だ。




「――…来年の春から、高遠がそこに転入するんだ」






彼女が消えてしまったあの夜…

病院から俺の携帯に来た一本の電話。



『渡晴一さんの携帯ですか?高遠全くんの容体なんですが、先程よりだいぶ意識がはっきりされて…
もしかしたら、明日にでも会話できるようになるかもしれません』



…誰よりも早く、君に伝えたかったのに。

誰よりも君は喜んだだろうに。

俺なんかよりもずっと、彼には君が必要なのに…



冬はまだ始まったばかりなのに。