――3月

俺はこの学校の教師を辞めた。


1年間しか担任をしなかったクラスなのに、離任式ではクラス中が泣いてくれて、嬉しかった。



『渡センセー、本当はずっと好きでした』

『うちも好きだった。センセーの彼女にして』


コラコラ、嬉しいけど先生を困らすな。

高校卒業した後、それでも俺のこと忘れないでいてくれたのなら、その時にまた話を聞くよ。


『センセー、三十路からの再出発か』


…三十路三十路言うなって。

お前らだっていつかはなるんだからな。


『センセー、命の授業感動した。俺ら全のこといっぱい傷つけた…』


『あたしセンセーに会えてよかったぁ!全にも。命の授業のこと、絶対一生忘れない』


『センセーありがとう』



…“命の授業”


テスト範囲は余裕があったし、俺自身がどうしてもやりたくて、自分のクラスに1時間だけ特別授業を設けた。