ブーブーブー…

携帯がポケットで振動している。


「…しまった、寝てたのか。はい、渡です」


『渡晴一さんの携帯ですか?入院中の高遠全くんのことなんですが…』


「はい、はい…え?」





俺は肩にかかっているダウンジャケットに気付き、ツバサを探した。


「ツバサちゃん、高遠が…ツバサちゃん?」


嫌な予感がした俺は、
研究室を飛び出し、学校の周りすべてを探す。


「ツバサちゃん!おい、どこ行ったんだよ!!」



俺はふと走っていた足を止め、空を見上げて呟いた。


「…まさか、もう帰ったのか?…」



相変わらずちらついている粉雪。

一体どこから飛んできているのだろう。

今夜は満点の星空なのに。


星からこぼれ落ちているのだろうか?