その話をしてくれたのは、
お母さんだったな…。
寄り道してしまったので、学校に着いたのは随分遅い時間だった。
寒がりの先生は、早速研究室に入って暖房をつける。
「これ、ツバサちゃんにあげる」
そう言って先生は、私にノートを手渡した。
受け取ると、それは全くんが天文学部で使っていたノート…
「字が汚いから使いたくないなんて、冗談だよ。せっかく高遠が残した命の証だったから…使えなかった」
「どうして、私に…?」
「…例えば明日、ツバサちゃんが消えてしまったとしても、後悔しないように」
さっき公園で私がしたように、先生は私の瞳をまっすぐ見て言った。
私は言われるままにノートを受け取り、ページをめくる。
天文学部の記録ノートだと思っていた。
でも、ノートの中身は…
あまりにも全くんらしい、
日々の記録。

