その時、背後から突然男の人の声がした。
「君かわいいね~。5万出してもいいよ」
「…しません!!」
相手を睨みつけてやろうと振り返る。
「――…あ」
背後に立っていたのは、安心したように微笑む渡先生だった。
「ハハッ。よろしい」
「先生!?ひどっ、今声変えてた」
「ただこんな所で夜遊びは感心しないな~。指導室行きだぞ、指導室行き」
先生の右手は私の左手をとり、以前車を止めた場所と同じ、コインパーキングへ誘導する。
ジュースを買ってくれた自動販売機の影に入ると、先生は突然私を抱きしめた。
「…え?どうし…」
「馬鹿。今回は、本気で心配したんだからな…」

