車で学校まで送ってもらうと、先生は私を手招きする。
職員室のように、中庭から自由に出入りできる場所にある小屋の一室。
「ここ。この部屋、先生一人しか使ってない研究室。帰る場所がないなら、ここを自由に使ったらいい」
狭くて、書類だらけの小さな部屋。
確かにデスクは1つしかない。
というか、デスクのせいで部屋がよけいに狭くなっている感じだ。
無人の書類置き場と化している。
「じゃあな、先生帰るから」
そう言い残し、鍵を開けたまま先生は帰って行った。
…先生は、もしかして、私が夜しか存在できないことも知ってるのかな…
帰る場所がないならここに居なさいって。
だから今、私を置いてすぐに帰っていったのかな…
私は扉に内側から鍵をかけ、ぺたっと窓ガラスに手をつけると、空を見上げた。
東の空が白いで、目の前に広がる景色すべてが夜明けの準備をしている。
眩しい光が注ぎ込まれるのと同時に、私の意識は消えていった。

