私は彼の顔を見つめた。


「ん?あぁ、俺ね、高遠。1年3組の、高遠全です」


「高遠…全。…きれいな名前」


「君は?私服みたいだけど、もしかしてここの生徒じゃないの?」




私が身につけていたのは、白い布切れのようなワンピース1枚だけだった。


裸足で、何も持っていない。

変なふうに思われただろう。



「私は…」






そうだった。

私には名前すらない。



どうしよう…




答えられずにいると、彼は優しく笑って


「天使が倒れているのかと思ったよ」


と言った。