混み合っている繁華街を、車はスピードを落としながらゆっくり進んでいく。

まるで夜じゃないみたいに明るい。

そして酷い人ごみ。
私は無意識に身震いした。



「さっき言ってた住所、この信号の先だけど…車は入れないみたいだぞ。どうする?」


赤信号で車を止めると、先生がハンドルを握ったまま私に訊く。



見たこともないネオンの光と人の波…


――怖い。


先生に初めて会った時もそうだったが、私は何故か全くん以外の人間が怖い。

理由は自分でもよくわからない。

何故か怖い。


しかも、向かう先は風俗店…




怖い。
――でも、

行かなくちゃ。



「…ここで結構です。ありがとうございました」


シートベルトを外し、ドアに手をかけた時、先生がふと呟いた。