「サガ、あの人見て!!超かっこいい!!」
私は振り向いた。
「どこ?」
「ほら、あっち!!」
ユリの指さす方向を、私は背伸びして目で追う。

さがしてる、さがしてる。
私はあの人を探してる。
5年経った今でも、私の想いは消えない。

きっとあなたを探し出す。
捕まえたら、離さない。


それは、みんなが考えているような、甘い思いではない。
もっと熱くて、グチャグチャ、ドロドロの、汚い気持ちだ。

「サガ、あんた今日暇?」
「うん。」

じゃあさ、と、ユリの顔がぱぁっと輝いた。
「合コン来ない?」
合コン?やだよ、そんな大学生みたいなこと。

私が黙っていると、ユリはため息をついた。

「どうせ、またあれでしょ?小さい頃に、一回きり遊んだ、初恋の王子様。いつまで夢見てんのよ。今時流行んないっつーの!!」

そう、つまり、そうなんだ。
私には、
運命の王子様とやらがいるってことにしている。
我ながらベタなんだけど。