「赤い満月とは不吉ですね…」
マスクウェルが口を開いた…
「まぁ…味があってよいではないか??でも…見送りなど…いいと言ったのに…」
「兄さんが心配しているんですよ…シーザー様は頼りないから…」
「はははっ」
「シーザー様…兄さんの為に嘘をつき通したんですね…」
「………」
「感謝します…俺は…あなたのようには…なれないな…」
「…お前は十分立派だよ…クレアの面倒をみてくれてるのは聞いている…それに比べ…私は最低な父親だ…」
「……シーザー様……クレアは幸せですよ…………シーザー様の子供と…認められて…」
マスクウェルは涙をこすった…
「もう…会えないん…ですね…」
「生きていれば…いつか巡り逢えるさ…」
シーザーは笑った…
「もう…ここでいいよ…」
「シーザー様…」
マスクウェルは涙と鼻水でぐちゃぐちゃになった…
「まだまだ…子供だなっ」
頭をなでると…シーザーは森の奥地へと進んでいった…
マスクウェルは姿が消えても…なお…目を離さなかった…
頬を撫でるように優しい風がふいていた…