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「うあぁっ」


突然倭が奇声をあげた。


「何やってんのさ。ただのウサギだよ?」


そう、草原(くさはら)から突然真っ白なウサギが飛び出してきたのだ。


飄々(ひょうひょう)としているのは響だけで、声には出さなかったものの、実は桜も驚いていた。


ウサギが出てきたことにではない。


さっきから恐れているものだ。

この国の住民で恐れない者はないとされる・・・。


「そういえばさぁ」


響が立ち止まって桜のほうを見る。


その視線におののきながらも、桜はピンと背筋を伸ばして響の視線を受ける。


「何ですか?」


「さっきの、大変なことになるって、一体何?さっきから気になってたんだけど」


「そうそう、俺も気になってた。大変なコトってなんだ?」


桜はうつむく。


なんと答えていいか戸惑った。






この兄弟には本当のことを話すべきか?



しかし、走って逃げられてしまってはお終いだ。


あまり足には自信がない。


けれど、もしアレが出ておいていかれても困る。



自問自答しているような、桜らしくない行動に二人は顔を見合わせる。