そんな倭をみかねてか桜が鞄をあさりだす。



「はい、よく効きますよ」


そう言って鞄から取り出したのは、パチンコ玉ほどの小さな塊だった。


「なんだそれ?つうか、すんげえ臭いするんですけど・・・」


「文句言わずにさっさと飲む。僕はあそこに見える街に早く行きたいんだから」


響が倭を急かす。


倭は桜から小さな塊を渋々受け取って、間近で臭いを嗅いでみる。


すると、今まで嗅いだことのないような独特のにおいを放っていた。


響が急かすので自由の利かない体を動かし、やっとのことで口にする。


そして、桜からもらった水で一気に流し込む。


口の中に先ほどの臭いが残る。


しかし、それほど不快には感じない。


それどころか、先ほどまでグルグル回っていた星が一気に消えた。桜がいうとおりよく効くらしい。


だいぶ楽になった。