空港の立体駐車場で、
とうとう陽菜が泣き出した。
「ちょっ、陽菜早いって!」
「・・ック・・・もう無理だよぉぉ〜」
愛未が優しい笑顔で、
ボロボロ涙を流す陽菜の肩を抱いていた。
そこに偶然居合わせた人達は、
きっと恋人との辛い別れだと
解釈しただろう。
「陽菜〜」
昔からつられ泣きの多かった私も、
ついに涙腺が緩んでしまった。
ふと、一滴の涙が狙ったように
私のポケットを濡らした。
アイビーの押し花で作られた
しおりが入っている場所だ。
それも、昨夜三人で作った。
アイビーの花言葉・・・・
永遠の友情、不滅
海風にのって潮の香がする。
私達は、今頃キャリーバックを
引きずりながら忙しくしている
君島さんの元へ向かった。
「わ!すごいすごい、見てこれ!」
満面の笑みで、
こちらに手招きしているのは、
さっきまでボロボロに泣き崩れていた
陽菜。
「涙の別れは?感動のクライマックスは?」
愛未・・・・、あんたもあんただよ。
予定が狂ったというように
目と口を大きく開く愛未を
末恐ろしく感じていると、
両手いっぱいに買い物袋を持った陽菜が
店から出て来た。
「えへへ〜お待たせ」
「えへへじゃないわバカタレ」
息継ぎもせず、抑揚のない声で言った
愛未は、陽菜をキッと睨んだ。
愛未は、どうやらロマンチストらしい。
かなりの演出家だ。
「だってぇ、空港初めてだから
お土産もの屋さんがこんなに
いっぱいあるなんて知らなかったから
テンション上がっちゃったんだよぉ!」
そして彼女はコメディアンらしい。
ずっこけそうなオチを用意してくれてる。
「あれ、昨日の・・・」
聞き覚えのある声に、
視線を向けると・・・
「啓太くん!」
啓太くんがいた。

