暇だな・・・なんて思いながら

段差に腰掛けていると、

裏口のドアが元気よく開かれた。



「あっちぃー・・うわ!びっくりした!」


私は目を丸くして私を凝視する彼を見る。

だって、すごくすごく



かっこいいんだもん!!




「誰さん?親父の愛人?」


「愛人!?」


「冗談だよ!

そんな怖い顔しないで。」



ハハッと笑った彼は無造作に

癖付けされた髪から

滴る汗をタオルでわしゃわしゃと拭いた。



「で、誰なの?」


白いタオルから覗く黒目に

不覚にもドキッとしてしまった。



「谷澤美桜。」


「あ、名前か!

そうじゃなくて、

どうしてここにいるの?」


口元に手の甲を当てて、

クククッと、笑った。


「君島さんの付き添い。」

・・・で、いいんだよね?


「って事は大学生なんだ!」


「うん、まぁ・・・。君は?」


「俺?俺は佐木啓太。高校生!」



佐木啓太を下から上まで見る。


懐かしい学ランに身を包んだ

いかにもモテ男な彼。


パンの香に負けじと、

彼から漂うタオルの香。




「美桜ちゃん!・・あ、啓太くん!」


「沙織さん久しぶり。」




啓太君は目を細めて君島さんに

軽く会釈した。



そこに違和感を感じて、

私は何も言えず2人を見ていた。




「美桜ちゃん来て。

またね、啓太くん。」



「うん、じゃあ。」


啓太君は視線を落として微笑んだ。



君島さんも目を横に逸らして

私の腕をとり、カーテンの向こうへ

引っ張った。








何かある。


君島さんと、啓太君の間に。



直感的にそう思った後、

胸の奥がグッと締め付けられた


気がした・・・・。