「元気なはず…」

…無いだろ?

俺は、何から言おうか戸惑った。

奥さんが帰って来る前に言わなければ…

一番重要な話

「あいつ…癌なんです。」

「え?」

「あんたみたいな肝炎が進行して…癌になったんだ。」

「そんな!どこの病院に入院してるんだ!?」

俺は病院名が書いてあるメモを渡した。

「急に来て、すみませんでした。それじゃ…」

俺はそれだけ言って部屋を出た。

「あら、帰っちゃうの?」

廊下ですれ違った奥さんに軽く会釈をして、急いで駅へ向かった。