「すみません、急に…僕の事、覚えてないですよね?」

そう言うと、野獣は

困った顔をした。

「篠崎君のお兄さん…会った事あるかな?ごめん、思い出せないな。」

俺は、思い切って答えた。

時間が無かった。

「青山 静さん…、入院したんです。」

こう言えば、一発で思い出す。

そう思った。

「君、静の…、あ、あの時の…」

野獣は思い出したようだった。

俺はあの時を思い出して

つまみ出されるんじゃ無いかと思った。

けれど、野獣は静かにこう答えた。

「あの時は、悪かったな。静は今…元気か?」