「あら、ナオヤさんのお見舞いかしら!こっちです。」

そう言って案内してくれた先には

野獣が寝転んでいた。

「ナオヤさん、お見舞いにいらっしゃってくれたみたい。」

野獣がこっちを見たので、俺はドキリとした。

「えっと…」

野獣は俺の事が誰だか分からなくて

変な顔をしていた。

そうか、そうだ。

野獣は俺の事なんてあんまり知らないし、

ましてや会ったのは、

あの暗い部屋でつまみ出された、

たった一回だけ。

「この人だれー?」

そう子供が言って、俺は焦ってこう答えた。