DOLL・・・ ~秘密倶楽部~


乙羽が去り
不本意にも柊音と二人
残された桜木は
バツが悪そうに
グラスに残ったワインを飲み干す


「神父が人の嫁、口説くって
 どぉいうことだよ...」


「別に口説いてねぇよ」


「ていうかお前...

 まだ、乙羽のこと...?」


柊音に言われ桜木は
半ばヤケクソで


「...ぁぁ

 自分でも呆れてるトコだよ
 こんなにも往生際が
 悪かったなんて...」


「だな」


「ぁあ?(怒)」


「でも、ま..それも
 しょうがないかな...」


「?」


「乙羽は...
 そういう女だからな...」


「...コ、コノヤロー」


「俺だって...

 
 ずいぶん、考えたんだ...」


「...?」


「乙羽の幸せをな...」


「はぁ?」


「なぁ、翔耶...

 お前は乙羽の「幸せ」って
 何だと思う?」


「はぁ?
 お前、何言ってんだ?
 気持ち悪りぃ...
 
 俺にお前と結婚する
 ことだろとか言わせてぇのか?」


「俺は本気で聞いてるんだ」


「お前、酔ってんのか?

 お前と「幸せ」について
 語り合うには
 俺は全然、飲み足りてねぇよ

 語る相手が違うだろ...」



「そうだな...
 お前に言ったって...

 でも結局、幸せって
 「普通」なことなんだと思う」


「ほぉ~、哲学ですな~」


「茶化すなよ!

 きっと...
 「普通」であることが一番
 幸せなんだろうな...って
 
 乙羽を通して思った」


「...?」


「だから...

 乙羽は普通の人と普通に
 普通の結婚をした方が
 幸せになれるんじゃ
 ないかなって..思った...

 でも...
 それでも俺は
 手放せなかった...

 乙羽の幸せを考えれば
 そうする方が
 一番よかったのに...

 俺は..自分の為に...

 乙羽を手放すことが
 できなかった...」


今の桜木には
柊音の気持ちが痛いほど
痛感できる


「...ぇぇと

 普通の人と普通に結婚して
 普通の幸せ?
 後、何だっけ?普通の...
 
 普通が多すぎて
 意味分かんねぇよ...」


「テメ...」