車はどんどん都会から離れ
山道を登って行く
車一台がようやく通れるような
細い道や険しい坂道を登ると
突然、大きく開けた場所に出る
ス...ゴイ...
乙羽の目の前には
広大な自然の中に溶け込んだ
ペンションが建っている
景色に見とれる乙羽を
車から降ろすと桜木は
「ぅんんん~
やっぱ、空気が違うね~」
長時間の運転ですっかり
固まった身体を空に向けて
大きく伸ばす
「よし、行こ!!」
桜木は乙羽の手を引き歩き出す
大自然の絶景に圧巻されながら
歩いていくと三角屋根の
かわいらしいコテージの前で
桜木は足を止める
桜木はポケットから
鍵を取り出しコテージの
ドアを開ける
「クソッ、マジ誰もいねー」
ブツブツと文句を言いながら
中に入って行く桜木
「他にも誰か来るの?」
「ぅん、柊音も来るよ」
「柊音も?」
ずっと不安げな表情だった乙羽が
柊音の名前一つで
安心した様子を見せる
「オレ、車とりながらちょっと
買い物してくっから
乙羽ちゃんは少し休んでなよ」
「...ぅん」
「柊音達もすぐ
来ると思うから...」
...柊音タチ?
桜木はすぐにコテージを出て行く
乙羽はコテージの中を歩きながら
窓を開けていく
小鳥のさえずり、風の音...
地面に転がるどんぐりの実や
まつぼっくりを見つけて
乙羽は思わず外に出る
近くには川が流れているのか
水音も聞こえる
水音に誘われるままコテージの
裏に回る乙羽
「ぅわぁ..スゴイ...
ここどこだろう...?
東京にもこんな場所が
あるなんて...」

