DOLL・・・ ~秘密倶楽部~


そして もう一つ...

乙羽の手の中ある
オレンジ色の携帯電話

航空チケットが過去を
消し去るというのなら

コレは...
これからの未来を
予測できない携帯電話と
いうのだろうか...


連日ハードなスケジュールを
こなす柊音はきっと
まだ乙羽の退院を知らない

たった一度...

ほんの数分間
柊音が病院に立ち寄った際
置いていった携帯電話
それには昼夜を問わず
何度もメールが届いた

つい、先ほども何気ない
昼食食べた?のメールに
返事を返したところだった


あたしは一度
自分の未来と共に
柊音も手放した...

再び生きることを
赦されたあたしは
もはやDOLLでも
何でもなくて...

柊音の側にいられる
理由はない...


乙羽は携帯を胸に
握りしめる


あたしは...

DOLLの域を
超えてしまった


ただの一度もあたしを
「DOLL」として軽く
扱う事なかった柊音

あたしを救うように
長期契約を繰り返し
魑魅魍魎(チミモウリョウ)の
世界から救ってくれた
柊音には返せないほどの
恩がある

何も言わずに去るのは
つらいけど

今...
会うのは
もっとつらい...


 ...シオン