入院してから
8日目の朝...
「ぅん、傷の具合も
だいぶ、いいね
そろそろ退院も
大丈夫かな」
回診にきた主治医から
退院の許可が出る
「ぁりがとうございます」
「セラピーの予約は?
取ってないみたいだけど」
カルテをめくりながら
確認する医師
「ハイ...//
大丈夫です
もぅ二度と...
あんなコト
しませんから...」
そう言う乙羽の表情を
冷静に見つめる医師
「そうですか...
分かりました
でも、しばらくは
処方されたお薬を
飲んで下さいね」
「ハイ」
「じゃ、退院の書類
出しておきますね
後で医務局の者が
回って来るので
それに従って
退院の手続きを
進めて下さいね
もうすぐ朝食ですから
ゆっくり最後の病院食を
楽しんで下さい」
「クスッ はい」
ぅん...
彼女なら大丈夫
心配ないだろう...
医師は乙羽の表情から
無理にカウンセリングを勧める
必要はないと判断する
この仕事を何年もしてきて
自傷行為を繰り返す人と
そうじゃない人を
見分けることが
できるようになった
彼女なら大丈夫...
医師が部屋を出て行くと
乙羽はすぐに荷物をまとめ
退院の準備を始める
そして運ばれてきた朝食を
早々に食べ終え片付けると
部屋を綺麗に整え病室を出る
ナースセンターの前を一礼して
通り過ぎて行く乙羽に
驚いた医師が声をかける
「ァレ?朝食は?
もう、済んだの?」
「ハイ、お世話になりました」
「退院の手続きは?」
「これから下で...」
乙羽は深々と頭を下げ
エレベーターに乗り込む
医師は慌てて飯岡に電話をかける
「ぁ、飯岡さん?
今日、乙羽さんに
退院の許可を出したんですが
もうすでに病室を出て
今、下で退院手続きを...」
「!!
スマンが引き止めててくれ」
「ぇぇ、でも限界が...」
「出来る限りでいい」
「分かりました」
医師はすぐに
事務局に電話をし
退院の発行を少し遅らせる

