ぇ...
身体が震える....
力が抜けていく...
事..故..じゃ...
なかっ..た...?
そんな...
兄は生前...
両親が遺してくれた
わずかな遺産と母の
保険金があると言ってた
どうして...
気が付かなかったのだろう
幼い兄妹を抱え
女手一つで育てる母に
十分な保険金が
降りる程の保険なんて
入る余裕、ある訳ないのに...
ちょっと考えれば
分かるのに...
あたしはそれを
しなかった...
「生活費は大丈夫だから
将来の為に貯金しろ」
そう言い兄は
あたしがアルバイトで
稼いだお金も決して
受け取らなかった...
兄がどれだけ自分を
犠牲にして、どれだけ
苦しい思いをしてきたのか
今になって胸が
押し潰されそうになる...
両親を亡くしたにも関わらず
あたしは兄のお陰で
何不自由なく暮らしてきた
周りにいる娘たちと
何一つ...
変わらない生活...
働きながら通える
準看護学校を選択したあたしに
兄は全日制の正看護学校を
強く薦めた
高額な入学金も
授業料も全部...
心配することはないと...
そしてあたしは...
看護師になった
苦しい...
上手に息が
吐き出せない
「ハァ、ハァ...
お兄..ちゃ..ん...」
胸をかきむしりながら
床に倒れ込んでいく乙羽
兄を死に
追いやったのは
ぁたしだった...
死ななきゃ
いけなかったのは
あたし...
お兄ちゃん..
ゴメ..ン...ネ
兄の死の「真相」を
知ってしまった乙羽
苦しい...
ベッドの下でもがき苦しむ乙羽
薄れゆく意識の中で
誰かが乙羽の名前を呼ぶ
「乙羽!!乙羽!!」

