ガチャ...
病室のドアが開き
懐中電灯の光と共に
夜間巡回の看護師が
入ってくる
桜木は慌てて涙を拭う
カーテンをめくった看護師が
桜木の姿に驚く
「ビックリした...
申し訳ありませんが
もぅ、消灯時間も
過ぎておりますので
明日の面会時間に
お越し下さい」
「スミマセン...」
申し訳なさそうに
頭を下げる桜木
乙羽も一緒に
頭を下げる
残りわずかだった
乙羽の点滴を交換し
看護師は部屋を出て行く
「怒られた...」
「クス」
「ヨシ!..帰る...」
桜木は涙を拭い
帽子をかぶると
「帰りは変装しなくても
大丈夫かも...」
そう言い
泣き腫らした顔を
乙羽に向ける
「ぶっ!
すごい顔になってるよ」
乙羽はわざと大袈裟に
反応してみせる
「クソォ~!!
セカンドミリオン飛ばす
アイドルなのにぃ~~~」
「クスクス...」
ついさっきまで
涙を見せていた桜木は
いつも以上に
ちゃらけてみせる
「じゃ...
また、来る...」
「ぅん
でも、飯岡さんに
怒られるよ」
「だよなぁ...
飯岡の顔、見た?
すんげぇ、怖いの!
本人はサングラスやらマスクやらで
隠してるつもりらしいけど
それがまた、余計に怖い!!」
「クスクス...」
「でも...
飯岡の怪我が
あれで済んだのは
森ちゃんのお陰だね
じゃなきゃ今頃...」
「...」
「んじゃ
今度こそ
本当に帰るから...」
「...ぅん
気をつけて...」
「ぁぁ」
音を立てないよう
静かに病室を出て行く桜木

