「...シオンさん!
........シオンさん!!」
病室の外で待機してるマネージャーが
再び小声で柊音を呼ぶ
「..クソッ」
「...行って」
乙羽が笑顔を見せる
その笑顔があまりにも
儚いものだと知った今
ますます乙羽の元を
離れることができない柊音
「...シオンさん!!
これ以上はもぅ
無理ですって!!」
「ウッサイ!!
だったら先に
車、行ってろ!!」
イライラとマネージャーに
当たる柊音
「柊音...
ぁたしは大丈夫だから
行って...」
柊音の背中を押す乙羽
「乙羽が...
大丈夫でも俺は...」
「ぇ?」
「乙羽...
ワガママ言っていいよ...
乙羽が「行くな」って
言ったら俺...」
...シオン
そんなのズルイ...
ぁたしに...
そんな価値
ないのに...
言えるわけ..ないよ...
「ぁたしは...
大丈..夫...」
「...そか」
視線を落とし
淋しげな表情を見せる柊音
「...ゥン//」
「じゃ...
電話する...」
「...ゥン」
シオン...
怒っちゃった..カナ...?
でも...
どうする事もできない
今のあたしの立場じゃ...
うつむく乙羽を
柊音がそっと抱き寄せる
「ゴメン...
ワガママ言ってんのは
俺の方だな...
忘れないで...
俺がずっと...
側にいるから...」
「...ゥン//」
乙羽の手ごと携帯を
握り締めKISSをする柊音
「じゃ...
行ってくる」
離れ難い乙羽の唇を後に
病室を出て行く柊音
あまりにも一瞬の
出来事すぎて...
柊音が去った後もあたしは
ボーっと、あれは柊音の
夢か幻だったんじゃないかと
思ってしまう
でも...
重ねた唇が熱く熱を帯びて
それが「現実」だったと
教えてくれる...
手の中の鮮やかな
パールオレンジの携帯が
柊音の幻を否定する
来てくれた...
わずか
数分間だったけど...
それを作り出すことが
今の柊音にとって
どれほど大変なのか
あたしは知っている
携帯を胸に抱きしめ
眠りにつく乙羽

