DOLL・・・ ~秘密倶楽部~


「フゥ...」


小さなため息と共に
窓の外を見ると

青白い満月が浮かんでいる


 月...

 また..
 見れ..た...


当たり前に
空にある月...

ただ...
それだけなのに...

一度、全てを
手放す覚悟をした乙羽には
こういう情景すら
とても新鮮で...

心が...
浄化していく...




コン、コン...

不意に病室の扉を
誰かが小さくノックする


 ...?


消灯時間も過ぎた
午後10時過ぎ...

 こんな時間に...?


不思議に思いながら
返事をすると

 ガチャ...

病室の扉が開き
誰かが部屋に入ってくる

ベッドカーテンに遮られ
姿は見えないが
コツコツと低い靴音を鳴らし
乙羽のベッドへ近付く


そして...


「...トワ」


ドキ..ン...

カーテンの向こうから
聞こえた声は
紛れもなく柊音の声


 ...シ...オン



驚く乙羽...


 どうしよう...
 会わせる顔がない...


動揺した乙羽は
慌てて頭からスッポリと
布団をかぶる


「...開けるよ」


「...」


ゆっくりとカーテンが開き
柊音が乙羽の元に近付く


「...トワ」


「...」


スッポリと布団をかぶった
小さな塊に呼びかける柊音

ベッドの上の塊は
小さく震えている


柊音はゆっくりと
その小さな塊に触れ


「オレ...
 
 怒ってるから...」


「...」


「勝手なことして...」


「...」


「本当に...
 


 死ぬつもりだったのかよ」


ポスッと
布団の塊を
軽く叩く柊音


「...

 ...ゴメン..ナ..サイ...」


消え入りそうな声で
謝る乙羽


柊音がゆっくり
布団をめくると
涙を流す乙羽が
小さくうずくまっている


左腕に巻かれた
痛々しい包帯


「...」


柊音は言葉を失う

柊音の顔をまともに
見ることができない乙羽


柊音は何も言わずに
乙羽を優しく抱きしめた


「ホンット...

 バカだなぁ...」


「..ぅぅぅ

 ...ゴメンナサイ」


柊音の胸の中で
子供のように
泣きじゃくる乙羽


「守ってやれなくて
 .....ゴメン」



サングラスの隙間から
涙を流す柊音


乙羽はただ、ただ
首を横に振る