結局...
あたしは最後まで
『DOLL』には
なれなかった...
あんなに何度も
自分に言い聞かせたはずなのに...
頭ん中ではちゃんと
理解しているはずだったのに...
心はずっと...
悲鳴をあげていた
柊音と出会い
「DOLL」という現実に
益々、目を背けたくなったあたしは
"柊音以外の男(ヒト)に
抱かれるくらいなら..."と
カッターナイフを握り締めていた
西山への嫌悪感以上に
自分の弱さがイヤになる
あの時...
全てを手放す覚悟で
ここに来たのに...
なのに...
この無様な生き様は何?
再び、生きることを
赦されたあたしは
その瞳を開いた瞬間から
もう...
手放したはずの
柊音を求めている
あたしって...
最低..だ...
深い自己嫌悪に
飲み込まれながら
あたしは静かに涙を流す
ガチャ...
「森園さん
消灯なので電気消しますね」
看護師が顔を覗かせる
「ぁ、はい」
いつしか時刻は
消灯時間を過ぎ
看護師が点滴の残量を見に
部屋に入ってくる
「消灯時間だけど大丈夫?」
「ハイ」
「何かあったら遠慮なく
ナースコールを押してね」
「ハイ。
ぁりがとうございます」
「じゃ、ちょくちょく
見回りにくるけど
気にしないで寝てね」
そう言い看護師は部屋を出て行く

