DOLL・・・ ~秘密倶楽部~


乙羽の言葉でようやく
荒れ狂った西山の拳が止まる


「ゴホッ..
 ハァ、ハァ...」


息を切らし血を吐きながら
柊音がしゃがれた声で言う


「...大丈夫 ハァ..ハァ...

 トワは..もぅ...
 DOLLなんかじゃないから...

 ハァ...ハァ......

 こんなヤツの...所なんか...

 行く必要..ない...」


「は?

 何言ってんの? お前」


西山が再び
柊音の襟元を掴もうとする


「やめて!!」


西山の腕を
必死で捕まえる乙羽


「お願いです...

 もぅ...
 ヤメテ下さい....


 柊音も...
 

 もぅ、いいの...
 ヤメて...」


西山の腕にしがみついたまま
うつむき涙を流しながら
悲願する乙羽

そんな乙羽を見て西山は


「フフン...♪

 柊音、この女
 お前よりずっと頭いいな」


鼻で笑いながら
柊音に中指を立てる西山



 早く...

 この部屋から
 この男を...


 連れ出さなきゃ...


一刻も早く西山を
この部屋から
遠ざけたい乙羽は


「行こ」


そう言い
西山の腕を引っ張った


「何だよ...

 そんな、引っぱんなって...

 慌てなくてもちゃんと
 かわいがってやるからよ

 ぁ、なんなら今ココで
 ヤッてもいいぜ!」


柊音を挑発するかのように
乙羽の肩を抱き寄せ
胸を揉みあげる西山


「...クッ..ゥゥッ...」


悔しさと情けなさと怒りで
身が引きちぎれそうな柊音は
血が滲むほど拳を握り締め
その拳を床に
一気に叩きつける


そして...

もがきながらも
最後の力を振り絞り
立ち上がる柊音



「...行くな...

 .......トワ


 行く必用..な..い.から...」


かすれた声で必死に
乙羽に向かって手を
差し出す柊音


 ヤメテ、柊音...

 これ以上..もぉ...


差し出した柊音の手に
背を向ける乙羽


「ククク...

 やーい
 振られてやんの
 ダッセェー

 もぅ、お前に用は
 ねぇんだとさ

 まぁ、心配すんな!!
 俺がちゃ~んと
 お前の代わりに
 かわいがってやるから」


そう言い乙羽の肩を抱き
部屋を出て行く西山


「...トワ...
 

 ....行く...な...」


擦れた柊音の声に
乙羽は振り返らない


「.......トワ」


 早くここから...

 早くココから
 連れ出さなきゃ...



「......とわぁぁぁー!!」



 あの声が...
 

 届かなくなるくらい
 もっと遠くへ...
 
 あたしの心が...
 崩れる前に..早く...


乙羽は耳を塞いだ