DOLL・・・ ~秘密倶楽部~


「ったく...
 ガキが...」


飯岡は面倒くさそうに
顔をしかめると
大きなため息を吐き出して
玄関へ向かうと


「無駄だよ...」


桜木の声に足を止める飯岡


「..今は...
 何したって....」


ため息混じりに
首を横に振る桜木


「もう、そんなこと
 言ってる場合じゃないだろう

 これ以上、あいつの
 我がままには
 付き合ってられん

 俺が部屋から
 引きずり出して...」


「だから...

 無理なんだって!!

 飯岡さんじゃ...
 解決にはなんない...」


そう言い桜木は
乙羽へ視線を向ける


「バカバカしい
 
 たかがオモチャ一つ
 取り上げたくらいで...」


憤慨する飯岡に桜木は


「たかが...
 じゃないし
 
 オモチャ...
 でもないよ
 森ちゃんは...
 
 
 少なくとも...
 柊音にとってはね」


「ハァ...」


あきれ果てた飯岡が
ガックリと肩の力を落とす


「お前ら...

 一体、いつになったら
 自分の立場が理解できるんだ

 アイドルという
 自覚はないのか?」


「......

 あるよ.....」


「だったら...」


「あるけど...
 でも...」


「でも?」


「こういうのって自分では
 どうしようもないだろ?」


桜木の言葉に飯岡は
深く息を吐き出し


「ぁのな...

 アイドルの世界に生きる
 お前らの愛だの、恋だの
 現実的な感情なんか
 聞きたかねぇんだよ」 


飯岡の言葉に
愕然とするメンバーたち


「じゃ...
 
 俺ら一生、恋愛感情を
 押し殺してなきゃ
 いけないのかよ」


「うぬぼれんな

 この業界に
 「一生」なんて
 言葉はない...

 この世界を
 甘く見るな!
 
 タレントなんて所詮
 使い捨てだ
 アイドルにいたっては
 もっと酷い...

 お前らがアイドルとして
 旬の時間を過ごせるのは
 ほんのわずかだ...

 俺たちはもぅ、
 次を見ている...」


不意に残酷な現実を
突き付けてくる飯岡


「のん気に恋愛感情なんぞ
 ほざいていたら
 あっと言う間に下に
 引きずり降ろされるぞ」


「...分かってるよ

 だけど...」


「?」


「...俺らだって

 ここまでただ
 飯岡さん達に導かれるまま
 歩いて来た訳じゃない
 
 生意気かもしれないけど
 ちゃんと俺らだって
 地均ししながら一歩、一歩
 踏みしめて歩いてきたんだ
 
 これからも...
 メンバー6人でしっかり
 歩いて行きたいから
 柊音にはちゃんと
 気持ちの整理を
 つけて欲しい

 俺らにとって
 一番怖いのは....


 下のヤツらに抜かれる
 ことなんかじゃなく
 この中の誰か一人でも

 欠けてしまうこと...」


桜木がそう言うと
よく言った!と言わんばかりに
本宮が乙羽に声をかける


「森園さん..だっけ?
 
 柊音のヤツ、オレらが
 何を言ってもダメで...
 もぅ、二日も
 仕事に穴あけてる...」


「二日も?」


「今は事務所や俺らが
 どうにか対処してるけど
 そう長くは持たない

 この世界は
 認められるまで
 時間かかっても
 飽きられるのは
 ほんの一瞬だから...

 そうなったらもう
 柊音だけの問題じゃ
 なくなる...
 
 柊音がこうなった原因が
 少しでも...
 森園さんに関係あるなら
 柊音を...
 説得してくれないかな?」


本宮の言葉に
乙羽は飯岡の顔を見る


「...ったく
 ふざけやがって」


飯岡はそう吐き捨てると
再び乙羽の腕を掴み
部屋を出て行った



「クソッ..ガキが...

 DOLL相手に本気(マジ)に
 なりやがって...」


ブツブツと文句を言いながら
不機嫌に車を走らせる飯岡