「ハイ。
コーヒーお待たせ」
乙羽の前に
コーヒーの入った
マグカップを置く桜木
「ぁりがとう♪
い~香り~♪♪」
「インスタントだよ」
「クスッ」
肩をすくめ
コーヒーの入ったマグカップを
口元に寄せると乙羽は
フーフーと息を吐き
熱いコーヒーを冷ます
そんな乙羽の向いに座り
コーヒーを一口、飲む桜木
「熱く..ないの...?」
子猫のような
眼差しで聞く乙羽
「熱い..けど...//
この方が美味いし...」
「ふーん...」
乙羽は桜木と同じように
マグカップに口をつけ
何度も試みるが
結局、飲めずにあきらめて
ケーキに手をつける
「んん!
美味しィィ~♡」
一気に上機嫌の乙羽
「クス...
甘いの好きなんだ」
「ぅん。
ケーキ久しぶり♡」
幸せそうに微笑む乙羽
乙羽の笑顔につられ
桜木もケーキを一口頬張る
口いっぱいに広がる
甘い感覚
「ぅは~~~
俺、朝っぱらから
ケーキ食うの初めてかも...」
「ぇー!
朝の糖分は脳にいいんだよ」
「は? 何それ、本当かよ?
完全に甘い物好きの
女子の言い訳だろ?」
「ホ、ホントだよ~//
この間、TVで
言ってたもん//」
まるで仲のいい兄妹のように
盛り上がる二人
「クスッ...
クリーム付いてる」
「ぇ?」
「...ココ」
乙羽の口元についた
クリームを拭おうとして
ふいに手を止める桜木...
その距離感が
あまりにもリアル過ぎて
夕べのコトを思い出し
動けなくなる
「ホラ、ここ...//」
桜木は出した手を
不自然に引っ込め
近くにあった手鏡を渡す
「//」
恥ずかしそうに
クリームを拭う乙羽
「そ、それにしても
スゴイ量だね...」
桜木の不自然な振る舞いに
乙羽も何かを感じたのか
必死で会話の糸口を探し出し
冷蔵庫に入りきれなかった
食材たちを指差す
「ぁぁ、俺と柊音
結構、食べるんだ」
「ヘ、ヘェー...」
た、食べるんだって...
あの量...
すると突然
インターホンが鳴り響く
「 ?
誰だよ...
こんな朝っぱらから」
「クス...
でも、もう11時だよ」
ブツブツ言いながら
桜木がモニターを確認する

