桜木をスタジオの
入り口前に降ろすと佐竹は
「今日はGスタの方で何人か
ウチの新人がオーディションを
受けてるらしいんで
ちょっと、行って来ます
終わる頃には
戻って来ますんで...」
「ぁぁ。」
桜木がスタジオの中へ
入っていくのを見届けると
佐竹は車を発進させ
Gスタジオへ向かう
控え室に着いた桜木は
早々にメイクを済ませると
台本片手に自分の出番を待つ
いつもと何ら
変わらぬ日常なのに
なぜだか今日は
無駄な時間がイラつく
見るつもりはないのに
なぜか時計ばかりが気になる
座ればイライラと
足が勝手に貧乏ゆすりを
始めてしまう
クソッ...
イライラと部屋の中を
歩き回る桜木
早く帰りたい...
桜木の心は
そこにしかなかった
コンコン...
「桜木さん!
お願いします!」
ようやくスタッフから
声がかかりスタジオ入りする桜木
だが、こんな日に限って
共演者がNGを
連発するしたりする
「カット!!カット!!カット!!」
イラ立った監督の声が
響き渡る
クソッ..
帰りてぇ...
思わず舌打ちしそうになる
自分を戒めながら桜木は
ただ、ただ流れていく
時間にイラつく
「カット!!」
5回目の監督の声に
モニターチェックに駆け寄る桜木
頼む...
これでOKで...
祈る思いで
モニターを見つめるていると
「OK!」
ようやく監督の口から
「OK!」の声が飛んだ
「お疲れっしたぁ~」
桜木は共演者達に
頭を下げながら
さっさとスタジオを出る
衣装を脱ぎながら
控え室に向かう
すぐに服を着替え
靴を履き替えると
携帯を耳にあて
佐竹に電話をする桜木
「ぁ、佐竹...」
新人のオーディションから
まだ戻らない佐竹に桜木は
「俺、もぅ終わったから
先、帰るわ」
「ぁ~!
もうそっちに
着きますんで...」
「ィヤ、いいよ。
今日は自分で帰るから」
「自分でって...」
「じゃぁな
お疲れ!!」
桜木はもうすでに
スタジオを出て
タクシーを止めている
活き活きとした
電話の向こうの桜木の声に
あ然としながらも佐竹は
桜木さん...
お母さんと食事の約束でも
してんのかな...?
とっくに切れた
桜木の電話を耳に
佐竹は小首をかしげる

