マンションの
地下駐車場へ降りると
黒いワゴン車が
桜木の車の前に止まっている
桜木がその車の後部座席へ
滑り込むと車はすぐに走り出す
いつもなら
車に乗るなりすぐに
寝てしまう桜木が
今日は何やら後ろでガサゴソと
紙袋を覗き込んでいる
袋の中には更に
紙袋が二つ入っていて
それぞれに
『桜木さん』
『マネージャーさん』
と書かれていた
「なぁ、佐竹...」
「ハイ?」
「お前、彼女とかいる?」
「...は?
なんすかいきなり...
いませんけど...?」
「...ふぅ~ん」
「???」
佐竹がバックミラー越しに
桜木を見ると桜木は
紙袋を手に何やら
考え込んでいる...
「佐竹...」
「ハイ...」
「サンドイッチ食う?」
「ぇ? イイんすか?」
「有難く食うならな...」
「ぇ? ぁ、ハイ...
いいただきます...」
桜木は「マネージャーさん」と
書かれた紙袋を運転する
佐竹の横に置く
車が赤信号で止ると
佐竹は早速、紙袋を開けて
サンドウィッチを頬張る
「ん!
ウマイっすね~!
コレ、桜木さんが...?
...って
んな訳ないッスよね~
ハッ!
もしかして...
か、か、彼女ッスか...?」
佐竹が一人
運転席でテンションを上げるも
「オマエ...
ちゃんと前見て
運転しろよ...」
桜木は冷めた目で
安全運転を促す
「...」
「お袋だよ」
「ぇ、お母さんッスか」
佐竹は紙袋に書かれた
「マネージャさん」という
文字を見ながら首をかしげる
「そうですか...
お母さんですか...
だから今朝は
時間通りに
出てきたんすね~」
佐竹は一人で勝手に
納得しながらサンドイッチを
ペロリとたいらげる
佐竹の言葉に桜木は
「ケッ」と言った表情で
ゆっくりサンドイッチを味わう

