「早っっ!」
着信画面の名前を見ながら
桜木が電話に出る
桜木は終始
「ぅん」とか「ぁぁ」とか
味気ない返事を何度か繰り返し
ものの数秒で電話を切った
そしてすぐに
「柊音から...」
そう言い乙羽に
電話を掲げて見せる
「クス... ぅん」
乙羽が頷くと
「ぁぁ。
そだ...
俺、明日、ちょっとだけ
撮影が入ってて...」
桜木がそう言うと
乙羽はすぐに
「ぁ、じゃ、あたしは...」
「そんな時間かからないと
思うんだけど...
やっぱ、まだ
一人でいるのは
怖いよね...
誰かに来てもらう...?」
「ぇ、ぁ、ぃぇ...
桜木さんがお仕事でいないなら
あたしが一人でここに
いる訳にも行かないので...」
「へ? 何で?」
...何で?..って...
「桜木さん、いないのに
部屋に残る訳には...」
「ん?だから何で?」
「だって...
知らない人を留守の間
家に置いとくって...
何かと不安じゃ...」
「クスクスクス...
森園さんって本当
面白いね...」
「ぇ//」
「スレてないっていうか
真面目っていうか...
いいね
そういうの」
「//」
「ってかさ!!
んな事したらホント、俺が
柊音に殺されるんだけど
それにさ...
信用できる人か
そうじゃないかくらい
俺だって分かるよ...」
「でも...//」
「じゃぁさ、仮に
森園さんが信用に値しない
人間だとして
俺が仕事に行った後
この部屋で何するの?」
「ぇ?
...ぅ~ん...
...........
..............
..............
....何か盗む?」
「何を?
ちなみにこの部屋に
現金は置いてないよ
まぁ、小銭くらいなら
探せば出てくんだろうけど」
「ぅ.....ん.....」
乙羽は部屋の中を見回す
「........テレビ....とか...?」
乙羽がリビングに置かれた
TVを指さす
「ブハッ!!」
桜木がお腹を抱えて笑う
ブハッ!!って何...?
あたしそんな
おかしな事 言った?
現金がないなら
他に金目な物ってTVでしょ?
「ちなみにさ、
あのテレビ80インチね
重さはだいたい...
80Kgくらいあると思う」
「そ..そんなに...?」
「ぁぁ。
後、奥の部屋にあるテレビも
だいたい30Kg前後くらいかな
そんなもんを
森園さん一人で運び出すの?
俺らだって二人がかりでようやく
部屋に運びいれたのに?」
「//」
「クスクスクス...
とにかく...
もし、森園さんが
悪い人だったとして
明日、俺の留守中に
何かしたとしても
森園さんにだったら
全部、持ってかれたって
俺、構わないよ」
「//」
「だから...
俺が帰ってくるまで
ここで待ってて...」
「...ぅん//
ぁりがとう。桜木くん」
「ぇ! 持ってくの?」
「ぇ? 違うよ//」
「ビックリした~
すげぇ、タイミングで
「ありがとう」とか
ゆ~からさ~」
「クスクスクス...」
「...と、とにかく//
ココは、柊音とこより
ちゃんと防犯効いてるから
森ちゃんが苦痛じゃなきゃ
俺が帰るまで
ココで待ってて...
なるべく早く帰るから」
「そんな...
苦痛だなんて...
本当に、ありがとう
後...
迷惑かけちゃって
ゴメンナサイ...」
「だから...
森ちゃんじゃなくて
柊音が...って
ゆってんでしょ」
「クスッ。 ぅん」
「ぁぁ、お昼とかは
テキトーにデリ頼んでね
メニューは..ぇっと...
ぁ、そこにあるから」
「ぅん」
「さてと...
もぅ、遅いし...
寝ようか...
ぁ!! っと、その前に
ちょっと服だけ取らせて」
そう言うと桜木は
部屋に入り
スウェットと数枚の服を持って
部屋から出てくる
「OK、いいよ
お休み...」
桜木は服を
ソファーの端に置くと
カバンの中から台本を取り出し
その上に置く
「お休みなさい」
乙羽は丁寧に頭を下げ
部屋に入る
パタン・・・
静かに閉ざされた
ドアを見つめる桜木...

