乙羽がドライヤーで髪を乾かし
部屋から出てくると
桜木はリビングにある
小型の冷蔵庫の中を
覗き込んでいる
「何か飲む~?
...つっても
ビールしか...
ぁ、お茶も一本あった
インスタントでよければ
コーヒーもあるけど...」
「...クス
じゃ、お茶で...」
「OK
ハイ、お茶ね」
「ぁりがとう」
「ね...
一つ聞いてもいい?」
「?」
「何でDOLLに?」
「...ぇ」
不意に唐突な疑問を
投げかけられ思わず
息をのむ乙羽
「気を悪くしたらゴメン...
でも..
聞いておきたいんだ」
「理由...
聞いたらきっと桜木さん
引いちゃうかも...」
「ウソ...
どんくらい?」
「ぅ~ん...
ドン引き?」
「ぇ~、マジ?
じゃ、今は止めとくか」
耳を塞ぐ桜木
「クスクス...」
桜木はとても親しみやすい...
相手との距離感や
その場の空気を上手に
読み取るコトができる大人の人
柊音とはまた
違う「優しさ」を
持っている...
二人が遅い夕食を終え
片付けをしていると
乙羽の携帯が鳴り響く
「柊音じゃね?」
桜木がそう言うと乙羽は
頬を赤らめ電話に出る
「...もしもし」
「乙羽、ゴメン寝てた?」
「ぅんん」
「今、ようやく
撮影が終わって...」
今...?
日付はもう...
とっくに変わっている
「ちゃんと
翔耶ん家にいる?」
「ぅん//」
「そっか...
こっちは天候次第で
撮影がもう一日
かかりそうなんだ...
ゴメンな...
大変な目に遭ったのに
側にいてやれなくて...」
...柊音
そんなこと
言われたら
あたし...
勘違い
しちゃいそうだよ...
自分が
「DOLL」だってこと
忘れてしまいそう...
「...ぅぅん、大丈夫
ぁたしなら平気だよ」
柊音に心配をかけぬよう
強がる乙羽の心遣いが
時に柊音を苦しめる...
「...平気..か...」
「ぇ?」
「...何でもない
じゃ、明日も早いから
もぅ切るね...」
「ぅん」
乙羽の電話が切れると
すぐに桜木の携帯が鳴り響く

