玄関から伸びる
真っ白な廊下の先の
ドアを開けると
さっきまでの廊下とは
まるで雰囲気の違う
モダンなリビング&ダイニングが
広がっている
「ハハ..ゴメン...
すげぇ、散らかってる
適当に避けて座ってて」
桜木は鞄をイスの上に置くと
ジャケットをイスの背もたれにかけ
慌てて雑誌や
飲みかけのコップ等を
片付け始める
両手一杯にモノを抱え
あっちへこっちへと
慌しく動く桜木
「マジ、ごめん
前もって聞いてたら
ハウスクリーニングでも
入れてたんだけど...
すぐ片付けるから...」
「...ゴメンナサイ//」
申し訳なくて
頭を下げる乙羽
「だから...
森園さんじゃなく
柊音がね」
5分ほどすると
「森園さんは
奥の部屋を使ってね」
桜木が奥の扉を指差す
桜木の部屋は広いが
扉のある部屋は
そこしかない様子で
恐らく桜木が
寝室として使ってる
それを占領することを
躊躇した乙羽は
「ぇ、ぁ、ぁたし...
ココで大丈夫です//」
そう言うと桜木は
「ぇ、そこ?
そこ...
キッチンなんだけど...」
「//」
「クククク....」
桜木がお腹を抱え
笑いだす
「っていうか
んなとこに
森園さん寝かせたら
俺が柊音に
殺されるんだって」
「でも...//」
躊躇する乙羽に桜木は
「俺としてはさ
森園さんが部屋を
使ってくれた方が
いろいろと
生活しやすいんだけど...」
「そぅ..なの...?」
乙羽が小首をかしげる
「ぁぁ。
だって着替えとか
いろいろあんじゃん?
俺が部屋使ったら
いちいち確認しないと
部屋から出られないし
トイレも気軽に
行けなくなっちゃうから
非常に困るわけよ
それに俺、夜中も
起きてたりするから...」
「そっか...
ゴメンナサイ
本当、迷惑かけちゃって//」
「ぁぁ~
だから...
そういう意味じゃなくて
...とにかく!
森園さんが部屋を
使ってくれた方が
俺としては、いいわけよ
だから、遠慮なく使ってよ」
「.....
じゃ...
お言葉に甘えて
お借りします」
乙羽が頭をペコリと下げる
すると桜木もつられて
頭を下げる
「ぁ、そだ
ベッドのシーツ替えとくから
森園さん先に
風呂、入ってきなよ」
「ぁ、手伝います」
「いいよ。
向こうも少し
片付けなきゃなんないし
それに...」
「?」
「女の子には
見られたくないモンとか
あるかもしんないし」
「//」
「だから先に
風呂でも入っててよ」
「...ハイ//」
「ぁぁ、飯岡には
俺が電話しとくから」
「...アリガトウ」
乙羽は頭を下げる
「風呂、そっちね」
桜木がキッチンの
向こう側を指差すと
乙羽は再び
小さく頭を下げ
浴室へ向かう
浴室の扉が閉まると
桜木は急いで部屋に行き
部屋を片付け
ベッドのシーツを交換する
「フゥ...
しんど....」
一仕事終えた桜木が
ソファーにどっかりと腰を降ろす
「やっぱ、日頃から
掃除って大事だな...」
日頃の生活を反省しながら
桜木は携帯を取り出し
飯岡へ電話をかける
「...ぁ、
飯岡さん? 俺...
ぁ..ぃや...
終わってマンションに...
...特に
問題はなかったッス...
ぁの...
森園さんも一緒に...
俺ん家にいますから」
「...そうか、分かった」
少しの沈黙の後
そう言い飯岡は
電話を切った
「フゥ...」
飯岡に報告を終え
ようやく肩の荷が
下りた桜木は冷蔵庫から
ビールを取り出し
プシュッと軽快に開けると
それを半分ほど一気に飲み
TVをつける
カチャ...
浴室の扉が
開く音がして
「...お風呂
ぁりがとうございました」
濡れた髪の乙羽が
桜木に頭を下げる
「...ぁ、ぁぁ//
部屋に
ドライヤーあるから...」
「...ハイ」
「後、飯岡には
連絡しといたから」
「ぁりがとうございます」
再び頭を下げる乙羽
「ぁ、ぁのさ//
俺も....
「森ちゃん」って
呼んでもいい?」
「?」
瞳を丸くして
驚く乙羽
「ぁぁ...
イヤなら
別にいいんだけど
柊音がそう..
呼んでたから....」
声が小さくなる桜木
「クス...」
乙羽は肩をすくめ笑うと
小さくうなづく
「俺のことも
翔耶でいいから」
明るい笑顔を向ける桜木
聞き覚えのある
なつかしい会話...

