DOLL・・・ ~秘密倶楽部~


警察署に着くと二人は
裏口から中に通され
小さな部屋へと案内される

真っ白で
冷たい壁に囲まれた
空虚な一室

その部屋の壁に
一箇所だけ
暗幕で閉ざされた箇所がある


後から入って来た警官が
静かに二人へ説明を始める


「これからいわゆる
 「面通し」を
 行ってもらいます

 このカーテンを開けると
 向こう側に5人の男が
 立っていますので
 その中に昨日
 お二人が見たという
 男がいるかどうか
 教えて下さい

 窓はマジックミラーなっていて
 向こう側からは
 決して見えませんので
 安心して下さい」


窓の上のランプが
点灯すると警官は


「じゃ、いいですか?
 開けますよ」


そう言って
ゆっくりとカーテンを開ける


桜木が窓に近付く

窓の向こうに並ぶ
5人の男たち


「...」


じっくりと一人、一人
男の顔を見ていく桜木
途中、何度か首をかしげながらも


「...4..番の人かな...?」


桜木は少し
自信なさそうにつぶやく


「4番ですね...
 よろしいですよ
 じゃ、次は彼女...」
 

警官は一度カーテンを閉め
隣室の警官に男達の順番を
入れ替えるよう指示を出す

そして再び
窓の上のランプが点灯すると
カーテンが開け放たれる


 どうしよう...
 体が動かない...


部屋の隅で
乙羽は...

あの日の恐怖と闘っていた


「大丈夫ですよ...

 向こう側からは
 絶対に見えないし
 声も聞こえません」


警官が優しく乙羽を促す

震えながら一歩...
また一歩と
窓に近付く乙羽


 怖い...

 あの時の男の顔を
 もう一度
 
 見るのが怖い...


もう一歩の所で
固まり動かない乙羽を
桜木が支える


「大丈夫だから...
 頑張って...」

桜木がゆっくりと
乙羽の背中を押し出す


「!!!」


一瞬見ただけで
乙羽は5人の中から
夕べの男を見つけ出し
すぐに窓から離れる


「どうですか...?」


警官がたずねると


「...3番の人です」


乙羽は震える声で言った


「3番ですね...
 
 分かりました
 ありがとうございます」


震える乙羽の為に
警官はすぐにカーテンを閉め


「今、何か飲物を
 持ってきますから
 少し待ってて下さい」


そう言って警官は
部屋を出て行く