運命のヒト

久々の学校。

今日は真面目に学校に来た。

でも、教室には行ってねぇ。


廊下止まり。

しかも、3組の前の廊下。


そこから何気なく1組の辺りの廊下を見ていた。


ここ最近、俺は毎日水嶋を目で追ってる。


俺、かなりやばい・・・。


また、今日も水嶋は2組を待ってる。


待ってるのは、ダチの大森千絵だと思う。

水嶋の隣には、ダチの山田なつもいるし、間違いないと思う。



「なぁ~、まだ帰らねぇのかよ!」

俺の隣で、健二がさっきから何度もそう聞いてくる。

「ちょっと、待ってろよ!」

俺は、健二の方を見向きもしないで、まっすぐ前を向いて答えた。


「美鈴、待っとるだろ!」

健二がそう言って、俺の腕をつかむ。

早く終わった神田は、下駄箱で俺らのことを待っている。

俺らっていうか、俺のことを・・・。


「あぁ~、もう、分かったわ!」

俺は、少しキレながら下駄箱に向かった。


健二にキレてるわけじゃない。

待っている神田にキレたわけでもない。


今日もまた、水嶋がヒロと楽しげにしゃべっていたから。


俺が思うに、ヒロは水嶋のことが好きだと思う。

そうじゃなかったら、窓越しにわざわざ話しかけたりなんてしねぇだろ。

ヒロが女に優しくしてるとこなんて、水嶋以外見たことねぇし。


それに、水嶋も・・・。

すげぇ楽しそうに笑ってた。


前に、神田が言ってたことを思い出した。

「桃子はヒロのことが好きみたい」って・・・。



俺は、ムカついてムカついて仕方なかった。